曲のキーっていったい何のこと?
曲にはそれぞれ「キー(Key)」と言われる音階があるんです。
ベース演奏にとても役立つ知識なので、分かりやすく説明していきますね!
この記事を書いている僕は、現在ベース歴28年。ときどきプロのアーティストのライブサポートや、レコーディングでベースを弾いています。
この記事は【ベース初心者のための音楽理論】の第五回目になります。
今回は「調(Key)」についてです。
キーというのは、カラオケでよく言う「キーを変える」の「キー」の事です。
音楽をやっていると頻繁に使われる言葉で、Keyを理解することでアドリブに強くなったり、耳コピが早く出来るようになったりと、演奏の幅もかなり広がります。
意外とちゃんと理解しないままにしちゃっている人も多いと思うので、 Key について勉強したことが無いという方は、是非この機会に覚えて下さい。
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■【ベース初心者のための音楽理論♯5】曲のキーとは?判別方法も解説
◇ 調(Key/キー)について
まず最初に、調(Key)とはいったい何なのかから説明していきたいと思います。
・ 調(Key/キー)とは?
基本的に、どの曲にも「主音」といわれる落ち着く音があります。
この主音という音は、曲の出発点や終点などにもよく使われ、まさにその曲の中心となる音になります。
そして、その主音を「1度」の音として構成された音階(スケール)が、その曲の調(キー)となります。
調(キー)…その曲にメインで使われている音階(スケール)の事
キーというのは、「その曲がどの音が主音なのか?」、「どの音階で構成されているか?」を表したものなんですね!
曲のキーが分かれば、そのスケールを使って自由にアドリブが出来るわけです。
例えば「ハ長調 (Cメジャー・キー)」は、Cの音が主音で Cメジャースケールの構成音をメインに使って作られた曲という事になるので、Cメジャースケールでアドリブが出来るわけですね!
『音階(スケール)』についてはこちらの記事をご覧ください↓
・【ベース初心者のための音楽理論♯2】音階(スケール)とは?
・キーの種類は?
では、キーの種類はいくつあるのでしょう?
下のベースの指板をご覧ください。
1オクターブの中には音が12個ありますよね?
キーはその1つ1つの音に存在します。
「それじゃあ キーは12個あるんだ」と思うかもしれませんが、それぞれの音にメジャーとマイナーがある為、キーの種類は合計24個になります。
- キーには、長調(メジャー・キー)と、短調(マイナー・キー)が存在する
- 長調が12個、短調が12個、合わせて24個のキーが存在する
◇ 調号について
次に『調号』について説明していきたいと思います。調号はキーを理解する上で不可欠なものなので、しっかり理解しましょう。
・調号の役割
そもそも調号とは、楽譜の左端に書かれている「♯」や「♭」の部分の事ををいいます。
調号の役割は、曲の最初にあらかじめ「この音は♯(または♭)で弾いて下さいね」という指示をするために記されています。
例えば、上の調号ではファ・ド・ソ・レの音にそれぞれ♯が書かれているいますね。
この場合、「この曲は、ファ・ド・ソ・レの音は♯で弾いて下さいね!」という意味になります。
指示された音は、高さに関係なくオクターブ上だろうが下だろうが♯となります。
また、調号に♯が付いた音符は、楽譜上♯が記されなくなりますが、 ♯で弾く必要があります。
そして「♮(ナチュラル)」などの臨時記号がついた場合のみ♯の効力が無効になるのです。
※調号が♭の場合も同じ
- 調号は、曲の初めに♯・♭で弾く音を指示するもの
- 指示された音は高さに関係なく♯・♭で弾く
- 臨時記号がついた場合は♯・♭が無くなる
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・調号の決まり事
調号にはいくつかの決まりがあります。
(1)♯・♭の数
♯・♭の数は上限が決まっており、それぞれ0~7個で記されています。
(2)♯が書かれる順番
♯が書かれる順番も決まっています。
まず、1つ目の♯は「ファ」に記され、そこから5度ずつ上がって増えていく形です。
音でいうとファ・ド・ソ・レ・ラ・ミ・シの順番になります。
(3)♭が書かれる順番
同じように♭が書かれる順番も決まっていて、1つ目の♭は「シ」に記されて、そこから4度ずつ上がって増えていきます。
音でいうとシ・ミ・ラ・レ・ソ・ド・ファの順番になります。
『ファ・ド・ソ・レ・ラ・ミ・シ / シ・ミ・ラ・レ・ソ・ド・ファ』
♯と♭はそれぞれ増える順番が逆になっているんですね!
● 調号の決まり事のまとめ ●
- ♯・♭はそれぞれ0~7個で表される
- ♯…ファ・ド・ソ・レ・ラ・ミ・シの順番で増える
- ♭…シ・ミ・ラ・レ・ソ・ド・ファの順番で増える
『ファ・ド・ソ・レ・ラ・ミ・シ / シ・ミ・ラ・レ・ソ・ド・ファ』は覚えておくとキー判別する際に便利です。
呪文のように何度も繰り返して覚えちゃいましょう!
◇ 曲のキーを判別する方法
次に、曲のキーをどのように判別するかです。
キー判別はおもに、調号から判別する方法と、コード進行から判別する方法の2つの方法が主流です。
コード進行からの判別には、ダイアトニックコードの理解が必要なため、今回は簡単な「調号からの判別方法」を見ていきたいと思います。
また、番外編として ベースを弾いてキー判別す方法もご紹介したいと思います。
・調号の構成音から曲のキーを見つける
それでは実際に、1つの調号の構成音をじっくり見ていきましょう。
下の調号の画像をご覧ください。
ファの音に♯が1つだけ付いていますね。
つまり、この曲は、『ファの音は「♯」で弾いて、それ以外の音は普通に弾いて下さいね』という意味になります。
弾く音は ド・レ・ミ・ファ♯・ソ・ラ・シ・ド になります。
次にそれぞれの音が、となりの音との距離がどうなっているかを見ていきましょう。
ド(全)レ(全)ミ(全)ファ♯(半)ソ(全)ラ(全)シ(半)ド
この距離の間隔を、メジャースケールの「全 全 半 全 全 全 半」の間隔に合わせてみます。
ソ(全)ラ(全)シ(半)ド(全)レ(全)ミ(全)ファ♯(半)ソ
並べ替えると、Gメジャースケールであることがわかります。
つまり、♯が1つの調号は「Gメジャーキー」を表す調号ということになるのです。
このように調号ごとに構成音を分析すると、その調号が表すキーが分かります。
Gメジャースケールの平行調はEマイナースケールのため、Eマイナーキーを表す調号でもあります。
1つの調号でメジャーキー・マイナーキーの2種類が表されるんですね!
・調号一覧
すべての調号をまとめてみました。
♯と♭が1つもつかない調号はCメジャーキー / Aマイナーキーとなります。
つまり、ただの「ドレミファソラシド」ですね!
先程キーの数は、メジャーとマイナーがそれぞれ12個と説明したのに、一覧図には15個ずつかかれていますね。
これは、異名同音調があるからです。
異名同音調は、その名のとおり、異なる名前だけど実際は同じ音という意味です。
例えば、Bメジャーキーと、C♭メジャーキーは名前は違いますが構成音は同じ音になります。
そのため、実際のメジャーキーの音の種類としては12個となるのです。
● チェックポイント ●
- キーは調号によって表されている
- 1つの調号にメジャーキーとマイナーキーが表される
- キーには異名同音調がある
・♯と♭の数から簡単にキーを導き出す法則
ただ、毎回キーを導き出すのに調号の音を分析するのは面倒ですよね?
そこで、調号に書かれた「♯」と「♭」の数さえわかれば、ベースの指板を使って簡単にキーを導き出す方法があるのでご紹介します!
下の図をご覧ください。
【♯1個がGメジャーキー】→【♯2個がDメジャーキー】→【♯3個がAメジャーキー】→・・・・・
このように指板を G を始発としてジグザグに上がります。
このように覚えれば、「♯7個の調号は?」と聞かれても、ベースを見ながら「C♯メジャーキー」とすぐにわかるわけです。
同じように♭の調号にも法則があります。
【♭1個がFメジャーキー】→【♭2個がB♭メジャーキー】→【♭3個がE♭メジャーキー】→・・・・・
今度は F から逆にジグザグに下がっていきます。
この法則さえ覚えておけば、調号を見て♯・♭の数さえわかれば簡単に曲のKeyが導き出せるのです。
♯1個は「Gメジャー」、♭1個は「Fメジャー」とこれだけ暗記しましょう
・ベースを弾いてキー判別す方法(番外編)
調号からキーが導き出せるというのはわかりましたね。ただ、実際には楽譜が無くて調号が分からない場合がほとんどだと思います。
そこで、曲を流しながらベースを弾いてキーを判別する方法をご紹介します。
下のベースの指板をご覧ください。
1弦と2弦に6つのポジションが記されていますね。
曲を流しながら、その6つのポジションを弾いてみて下さい。とりあえず、フレットはどこでも構いません。
おそらく弾いてみると、曲とまったく合わない音がしたと思います。
そこで、この6つのポジションの音が全て曲に合う場所を探していきます。
ポジションの間隔は変えずに、低フレットから高フレットまで順々に弾いてみて下さい。
すると、6つの音が曲としっかり調和する箇所が見つかると思います。
その調和したポジションの★星印の部分の音がその曲のメジャーキーの主音になるのです。
※キーがマイナーの場合は、★星印から半音3つ下の音が主音になります。
曲のテンポに合わせて弾いていくと分かりやすいですよ!
とても簡単なので是非試しにチャレンジしてみて下さいね
◇ 転調について
転調という言葉を聞いたことがあると思います。
これは、曲の途中でキーが変わることいいます。
最後のサビだけ半音分転調して、後半を盛り上げるという方法はよく使われる手法です。
転調された場合、その曲のキーがそこから変わるため、転調したキーに合わせてベースを弾く必要があります。頭に入れておきましょう!
◇関連書籍のご紹介
参考までに僕が書店で見た中で、調(キー)について分かりやすくまとめられてると思った本をご紹介したいと思います。
・マンガで分かる!音楽理論2(リットーミュージック)
マンガと文章で説明されており初心者にもわかりやすい内容になっています。僕が書店で調べた時は、キーについて一番わかりやすく書かれてる本がこれでした。
ちなみに月額980円でたくさんのベース教則本や、ベースマガジン等の音楽雑誌が読み放題になる、『Kindle Unlimited』というサブスサービスがあります。
もちろん、音楽理論を学べる書籍や、ベーシストなら誰もが憧れるスラップについての教則本もたくさん登録されています。
僕もこのサービスを利用してるんですけど、色々な情報を得ることができてコスパも最高なのでオススメですよ。
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■ まとめ
今回は調(Key)についてまとめてみました。
≪ この記事のまとめ ≫
- キーとは、その曲にメインで使われている音階(スケール)の事
- キーには、メジャーとマイナーの合わせて24個が存在する
- ファドソレラミシ / シミラレソドファ は、呪文のように唱えて覚える
- 調号によってキーは判別できる
最初は覚えることがたくさんあって大変だと思いますが、キーを意識しながらベースを弾いていればすぐに慣れしまいます。
とても便利な知識なのでぜひ今後音楽活動に活用して下さい。この記事がベーシストの皆さんにお役に立てれば嬉しいです。
最後まで読んでいただきありがとうございました!